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社会貢献活動 - 鬼丸昌也氏と中川信男 対談(1)
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未来の子供たちに私たちができること

カンボジアでの地雷除去支援・義肢装具士の育成、地雷被害者の生活再建事業など、意欲的に活動を繰り広げている鬼丸昌也氏(特定非営利活動法人テラ・ルネッサンスの理事長)。
プレマのお客様に、テラ・ルネッサンスさんの活動やビジョンについて知っていただくために、中川みずから鬼丸氏にお話をうかがいました。

本インタビューの他に、収録した音声ファイルがありますので、こちらも併せてお聞き下さい。
音声インタビュー集はこちら >>

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鬼丸昌也氏(テラ・ルネッサンス 理事長)と中川信男 対談(1)

中川(プレマ株式会社 代表取締役) こんにちは。まず自己紹介をしましょう。司会およびホストを務めさせていただきますプレマ株式会社の中川です。

NPO法人テラ・ルネッサンスの理事長

鬼丸(特定非営利活動法人テラ・ルネッサンス 理事長)  NPO法人テラ・ルネッサンスの理事長をしております鬼丸と申します。よろしくお願いします。

中川 さて、すでにテラ・ルネッサンスさんにはプレマ株式会社の社会貢献活動の一環として、いくばくかの寄付をさせていただいております。テラ・ルネッサンスさんが取り組まれているカンボジアの地雷除去やウガンダの子ども兵の救済などのプロジェクトに共鳴し、全幅の信頼をおいてその活動にプレマの社会貢献活動をゆだねています。

鬼丸 ありがとうございます。

中川 今日はプレマのお客様に、テラ・ルネッサンスさんの活動やビジョンについて十分に知っていただくために、鬼丸さんにお話をおうかがいします。

このインタビューをとおして、プレマ株式会社がテラ・ルネッサンスさんやその他の社会貢献事業をされている団体に対して、どんな想い、どんなかたちで私たちの利益を還元していくのかという基本的なスタンスをお伝えしたいと思います。

それでは鬼丸さん、まずはテラ・ルネッサンスさんの活動について教えてください。

鬼丸 わかりました。私どもテラ・ルネッサンスは、ぼくが立命館大学の4年生のとき、2001年10月に設立したNPO法人です。今年の10月でちょうど5周年となります。

中川 プレマとほぼ同じですね。私たちは同じ年の3月に創業し、6年目を迎えています。

■カンボジアの地雷被害

地雷除去
地雷除去

鬼丸 テラ・ルネッサンスの活動には4つの柱があります。
ひとつは、カンボジアという東南アジアの国で地面に埋まっている地雷を取り除く作業を資金面からサポートしています。MAGというイギリスのNGOと契約し、現地でMAGに地雷の除去をしてもらっているのです。

ふたつめは、女性の、義肢装具士つまり義肢や義足をつくる人が不足していますので、一昨年から年間90万円の奨学金を通じて支援しています。じつはまさに今月、この女性が養成学校を卒業し、テラ・ルネッサンスがサポートした初めての女性のプロの義肢装具士が誕生しました。

中川 それはすばらしい、おめでとうございます。

鬼丸 ありがとうございます。

中川 義肢や義足をつくる人が足りないほどに、地雷被害者が多いのですね。

鬼丸 カンボジアだけでも600万個近くの地雷が埋まっているといわれています。世界には推定6000万個以上の地雷が残っていて、世界中からすべての地雷を取り除くにはあと600年以上かかるというのです。今なお地雷被害者は増え続けており、その数は毎年16000人以上にのぼります。つまり30分にひとりの人が地雷被害に遭っているということです。

この90分間に3人が地雷の被害に遭っているということですか

中川 私たちは今90分間の予定で対談をしていますが、この間に3人が地雷の被害に遭っているということですか。

鬼丸 被害者の6〜7割はぼくたちと同じ民間人です。ごく普通の人たちが地雷のために傷つき、手や足、命、そして大切な人を失っています。これが地雷は「悪魔の兵器」だといわれるゆえんです。だからこそぼくたちはプレマさんの支援もいただきながら地雷の除去を進めなければなりません。また、地雷によって障害を負った人々はこれまでどおりの生活をおくることが困難になりますので、除去を進めるいっぽうで被害者のかたの社会復帰を支援をすることも欠かせません。

■ウガンダの子ども兵

そして3つめは、「小さくて軽くて誰でも扱える武器」、ぼくたちはこれを小型武器と呼んでいますが、その小型武器の規制を促す活動です。2〜3ヶ月に一度、国会議員のかたと勉強会を開いています。また、今年7月には国連で開かれた会議にスタッフが参加して小型武器を規制する条約をつくるための政策提言をしています。

アフリカのウガンダには小型武器を手にとって戦っている少年たち「子ども兵」がいます。今日(9月28日)の「News 23」でウガンダの特集が放送されます。以前プロジェクトXの司会をされていた膳場貴子さんがキャスターとしてウガンダ北部を訪れ元子ども兵たちの心の問題を取材されました。また、昨日NHKで放送された特集では私どものスタッフも出演しました。

中川 マスコミも無視できない、それだけ深刻な問題なのですね。

責任と自信をもって務めております

鬼丸 はい。ぼくたちは2005年4月からウガンダ北部で子ども兵の心のケアと職業訓練をしています。これが4つめの事業です。日本のNPO、NGOでは、ぼくたちが唯一ウガンダ北部でこの活動をしており、責任と自信をもって務めております。

中川 なるほどどれをとってもかけがえのない活動です。ウガンダの子ども兵については日本ではあまり知られていないようです。私も鬼丸さんにお会いして初めてこのような悲惨な現状があることを知りました。

鬼丸 世界では18歳以下の子どもが30万人、兵器を持って戦っています。ぼくたちはこの子ども兵士を「見えない子どもたち」と呼んでいます。なぜかというと先ほど言った30万人という数字、これは「確認されているだけで30万人」ということなのです。子ども兵がいる国はほとんどが発展途上国で内戦をしています。そこでは国民の誰もがぼくたちのように戸籍を持っているわけではありません。子どもたち自身、自分の年齢を知らないのです。中川さんのお子さんはもちろんご自分の年齢を知っていますよね。じつは日本の子どもたちのように自分の年齢を知っている、それだけでも幸せなことなのです。

中川 私のネパール人の友人も自分の年齢を知りません。海外では自分の年齢がよくわからないという人がいます。二年後に会って年を聞くと若返っていたりするのです。しかし、貧しさゆえに戸籍の管理がなされておらず、親とも生き別れになってしまったら、まったく自分の年齢を知る機会がありませんね。

鬼丸 子ども兵の場合は、軍隊のおとなたちが事実を隠そうとして嘘の年齢を教えたり言わせたりもします。10歳の子どもに18歳と言わせるような場合もあります。だからぼくたちは彼らを「見えない子どもたち」と呼んでいるのです。

中川 もっと多くの子ども兵が戦わされているというのが現実なのですね。

■子ども兵の社会復帰

鬼丸 では、みなさんに少し身近に感じていただくために、ひとりの子どもの話をしましょう。ウガンダで出会ったチャールズ(仮名)という男の子の話です。

チャールズは12歳のときに誘拐されました。ウガンダでは反政府ゲリラ「神の抵抗軍」がいまも活動しています。「神の抵抗軍」の兵士1800人のうち8割以上が18歳以下の子どもたちです。そして今なお子どもたちを誘拐し兵士にしているのです。ぼくたちはそんな場所で活動をしています。チャールズは軍隊で軍の規律を学び、銃の扱い方を教え込まれるのです。

司令官はチャールズに母親を殺すように命じます。

ある日彼は司令官によって自分が生まれ育った村に連れて行かれます。そこには自分の家があり、家には彼のおかあさんがいます。そこで司令官はチャールズに命じます。
「その女を殺せ」

おかあさんを殺すことはできません。チャールズは「いやだ」と言います。すると司令官に殴られ、また次のように命令されます。

「おまえの気持はわかった。それならその女の腕を切り取れ。そうしなければおまえもその女も殺す」

チャールズは母と自分の命を守るために、司令官から渡された鉈(なた)で母親の右手首を切断せざるを得なかったのです。

なぜこんな、日本で生きるぼくたちには想像しがたいような命令をするのでしょうか?理由はかんたんです。脱走させないためです。家には母親だけでなく近親者、まわりの人もいます。その人たちはみんな、彼が司令官の命令とはいえ近親者を殺したり傷つけたことを知っています。子ども兵が脱走して自分の村に帰っても、あたたかく迎え入れてくれません。「おまえは親を殺した、家族を傷つけた」ということで差別、偏見の対象になってしまうのです。そのため子ども兵は逃げ出しても行くところがなく、結局逃げ出せなくなってしまいます。そしてずっとその軍隊で戦うしかなくなってしまうのです。

彼らは子どもですから軍隊にいるおとなたちに自分のことを知ってもらいたい、認めてもらいたいと思うようになります。認めてもらうための判断基準はふたつしかありません。ひとつはほかの子どもたちよりも多く物を盗んでくること。もうひとつはほかの子どもたちよりも多く人を傷つけることです。こうして子ども兵は「権力や暴力でなんでも願いが叶う、誰でも言うことをきいてくれる」という考え方をすり込まれてしまいます。

もし仮に自分の家に帰れたとしても、そうやって身についた感覚が抜けません。だからこそ彼らにはカウンセリングが必要ですし、自分で何か商売や仕事をして金銭を稼ぎ、生活するためのサポートをちゃんとやらなければなりません。彼らの社会復帰は容易ではないのです。これがウガンダだけでなく世界中で行われている子ども兵の現状です。

自分がその現場にいたら絶句してしまうような状況です

中川 自分がその現場にいたら絶句してしまうような状況です。親を傷つけさせられ退路を断たれ、物を盗んだり人を傷つけることでしか存在価値を認めてもらえなかった人たちは、大きな心の壁ができてしまっていることでしょう。彼らが社会復帰するには、この壁を越えなければならないのですね。鬼丸さんたちはどのようにしてこの壁を越える手助けをしているのですか?

鬼丸 カウンセリングは外部の専門家にお願いし、ぼくたちは日本人ひとりとウガンダ人8人のスタッフでウガンダ現地の活動を行っています。何より大切なのはスタッフ全員が元子ども兵たちと真剣に向き合うことです。軍隊にいるときの彼らは物を盗ったり人を傷つける以外、普通にしていてもその存在を認められず、人間として受け入れられることはありません。しかし、我々スタッフは彼らを人間としてしっかりと受けとめ、対等に向き合い、話をし、真剣にかかわり合っています。お互いケンカをすれば泣くこともある。そういう過程を経るなかで人と人との信頼を学び、人を信じることの大切さを理解し、社会性をとりもどすことができるのです。だからこそぼくたちは、職業訓練を行うだけでなくいっしょに学習する場所として、今年の2月に日本のNGOで初めて現地に職業訓練校を建設しました。さらにあと2校、建設中です。

中川 カンボジアの地雷除去、義肢装具士の養成、小型兵器の規制、子ども兵の社会復帰支援。いずれも重要な活動です。

■日本で伝えることの大切さ

鬼丸 しかし、これら現場の活動を行うだけでは足りないものがあります。それは、こうした問題を引き起こすその原因を解決しなければならないということです。

中川 問題の根はもっと深いところに横たわっているということですね。

テラ・ルネッサンスでは年間120回ほどの講演やワークショップを全国各地で行っています

鬼丸 はい。本当の原因、それは先進国と呼ばれる国、たとえば日本で生活しているぼくたちのライフスタイルや考え方、消費の選択のしかたなどにあるのではないでしょうか。だから、カンボジアやウガンダで見聞きしたことや知ったことを日本でできるだけ多くのかたにお伝えしなければなりません。現地での支援活動と、日本で現地の「いま」を伝え日本の皆さんに「聞いて」「感じとって」いただく、この両方が揃っていることが大切なのです。テラ・ルネッサンスでは年間120回ほどの講演やワークショップを全国各地で行っています。3日に一度はどこかでお話をさせていただいていることになります。

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